先日、大事な会議の議事録をAIに要約してもらおうと思ったんです。
20ページもある資料を丁寧に添付して、
「この議事録の重要ポイントをまとめてください」
とお願いしました。
すると返ってきた答えが…
「一般的な会議では、
まず議題の確認から始まり、
各部署からの報告があり、
最後に次回の日程を決めます。
効率的な会議運営のためには…」
ちょっと待って!
私が聞きたいのは「一般的な会議」の話じゃない!
添付した資料、読んでないでしょ?
こんな「AIあるある」、あなたにも経験ありませんか?
AIは本当に「読んでいない」のか
実は、AIが資料の内容を無視したような答えを返すのには、理由があります。
AIは別に、意地ワルで資料を無視しているわけではありません。
AIの頭の中は、
インターネット上の膨大な文章や本でいっぱいです。
AIに質問すると、まずその膨大な知識の中から、
「この質問に一番”それっぽい”答えはどれかな?」と探します。
その結果、
私たちが添付した特別な資料よりも、
AIがすでに知っている一般的な知識の方が「答えやすい」
と判断してしまうことがあるんです。
つまり、AIは意図的に無視しているのではなく、
その仕組み上、
つい「知っている話」に流されてしまうクセがあるんですね。
「うちの会社の話」が伝わらない…よくある失敗例
このAIのクセのせいで、
現場ではこんなすれ違いがよく起こります。
たとえば、ある会社の人が、
自社独自のプロジェクト名
『スマート改革』について詳しく教えて、
と社内資料を添付してAIに聞きました。
返ってきた答えは…
「スマート改革とは、
IoTやAIを活用した業務効率化の取り組みで、
多くの企業が…」
いや、違うんです!
うちの会社の『スマート改革』は、
服装自由化とリモートワーク推進の合言葉なんです…。
AIは、社内資料より
「スマート改革」という
一般的な言葉の意味を優先して説明しちゃったんですね。
他にも、
- 「今期の重点施策について」と聞いたら、 経営学の教科書みたいな話が始まったり…
- 「A案とB案、どっちがいい?」と提案書を添付したのに、 「物事を決めるときは、メリット・デメリットを比べることが大切です」と、当たり前のことを言われたり…
AIのそんな答えに、 イライラしてしまう瞬間は日常的に起きています。
なぜAIは「知ったかぶり」みたいな答えを返すの?
この問題の根本的な原因は、
AIが「正解」を知っているわけではなく、
統計的に「もっともらしい」答えを
組み立てるように作られているからです。
大量の学習データから
「こういう言葉の次には、こういう言葉が来やすい」
というパターンを学んでいるんですね。
だから、似たような質問を受けると、
反射的に「定番の答え」を返してしまうことがあります。
これは人間でいうと、
何でも知っているように見せたい、
ちょっぴり見栄っ張りな新人さんみたいなもの。
自信満々に間違ったことを言われると、
余計に困ってしまいますよね。
AIにちゃんと「読んでもらう」ための実践テクニック
でも、諦める必要はありません。
AIのクセを理解すれば、
上手にお願いする方法があります。
まず一番大切なのは、
「必ず添付した資料だけを見て答えてください」 と、
はっきりお願いすることです。
さらに、こんな工夫も効果的ですよ。
AIへの役割を与える
「あなたは私の優秀なアシスタントです。以下の資料から要点だけを抜き出してください」
重要なポイントを先に伝える
「これは〇〇プロジェクトの会議の記録です。特に、予算が決まった部分について詳しくまとめてください」
命令をステップに分ける
①「まず、添付資料に何が書いてあるか、概要を3行で教えて」
②「次に、その中から決定事項だけをリストにしてください」
このように、AIが「勘違い」しにくいように、
具体的で分かりやすい指示を出すのがコツです。
「無責任AI」との賢い付き合い方
最後に一番大切なのは、
AIへの期待を正しく持つことです。
AIを「なんでも完璧にこなす秘書」ではなく、
「物知りで賢いけど、たまに早とちりしちゃう研修生」くらいに思うのがコツです。
AIが作ってくれた文章は、
あくまで「下書き」や「たたき台」として扱い、
最後のチェックや重要な判断は、
必ず私たち人間が行いましょう。
最近では、RAG(ラグ)という技術を使った、
添付資料を読むのが得意なAIツールも出てきています。
どうしても上手くいかない時は、
そういったツールを選ぶのも一つの手です。
AIの「的外れな答え」は、
AIの技術的なクセが原因です。
そのクセを理解して、
上手に付き合っていきましょう。
まとめ:イライラから学びへ
AIが資料を読んでくれない…
という経験は、イライラしますよね。
でも、それは
AIの仕組みを理解する良いチャンスでもあります。
AIのクセを知り、
どうすればうまく伝わるかを考えることで、
あなたの「AIスキル」は確実に上達します。
「なんで読んでくれないの!」と怒る前に、
「どうすれば読んでくれるかな?」と考えてみませんか?
AIとの付き合い方が上手になれば、
あなたの仕事はもっとスムーズになるはずです。
今日も良い1日を。