初心者でもわかるAIモデルの分類と活用法

先日、あるAI入門セミナーで一人の参加者から質問を受けました。

「AIモデルって色々な種類があって混乱します。どう違うんですか?」

確かに、「ChatGPTが画像も理解できるようになった」「マルチモーダルAIが注目されている」など、様々な情報が飛び交っていますよね。

専門用語も多くて、何が何だか分からなくなる。。。

そんな状況、よく理解できます。

実は多くの企業担当者が同じように感じているんです。AIモデルの種類や特徴を理解せずに、とりあえず「AIを導入しなければ」と焦っている。。。

でも、ちょっと待ってください。

AIは確かに複雑ですが、基本を押さえれば誰でも理解できるんですよ。

目次

AIモデルの本質は「学習方法の違い」にある

AIモデルを理解する上で最も重要なのは、「どのように学習するか」という点です。

これさえ分かれば、あとは応用に過ぎません。

教師あり、教師なし、強化学習という3つの学習方法があります。これが全ての基本なんです。

シンプルに言えば、AIモデルの違いは「どうやって学ぶか」の違いなんですよ。

人間の学び方と比べると分かりやすいですね。

教師あり学習は「答え付き問題集」で学ぶタイプ

教師あり学習は、正解が示された例から学ぶAIです。

例えば、「この写真は猫です」「この写真は犬です」というように、答え(ラベル)付きのデータを大量に与えて学習させます。

人間で言えば、解答付きの問題集で勉強するようなものです。

そして、十分に学習したAIに新しい写真を見せると「これは猫です」「これは犬です」と判断できるようになる。。。

教師あり学習では、主に2つのことができます。

1つは「分類」。スパムメール判定や病気の診断など、物事をカテゴリに分ける作業です。

もう1つは「回帰」。売上予測や株価予測など、未来の数値を予測する作業です。

「回帰」というのは難しい言葉に聞こえますが、要は「連続的な数値を予測する」ということですね。

私たちの生活でも、教師あり学習は様々な場面で活躍しています。

ネットショップでおすすめ商品を表示してくれたり、スマホのカメラが自動で被写体を認識してくれたり。。。

身近なところで、実はたくさん使われているんですね。

教師なし学習は「自分でパターンを発見」するタイプ

教師なし学習は、正解を与えずにデータの中からパターンを見つけるAIです。

正解を教えてもらえない分、自分で「これとこれは似ている」「ここにグループがある」といった特徴を発見します。

人間で言えば、誰にも教わらずに自分で法則を見つけるような学び方です。

例えば、お客さんの購買データを分析して「似た行動をする顧客グループ」を見つけたり、異常なデータを検出したり。。。

教師なし学習には、いくつか種類があります。

よく使われるのが「クラスタリング」。似た特徴を持つデータをグループ化する手法です。

他にも「次元削減」といって、複雑なデータから重要な特徴だけを抽出する方法や、「アソシエーション分析」といって、「このパンを買った人はコーヒーも買う傾向がある」といった関連性を見つける方法もあります。

マーケティングの世界では、顧客をグループ分けして、それぞれに合った戦略を立てるのによく使われています。

あなたが受け取るパーソナライズされた広告の裏側には、こうした技術があるかもしれませんね。

強化学習は「試行錯誤で上達」するタイプ

強化学習は、「行動」→「結果」→「報酬」のサイクルで学ぶAIです。

これは少し違います。

強化学習は、AIが環境とやり取りしながら、報酬を最大化するための最適な行動を学習するタイプです。

良い行動をすれば報酬がもらえ、それを繰り返すことで最適な行動を学習していきます。

人間で言えば、子供が試行錯誤しながら自転車の乗り方を覚えるような学び方です。

最初はうまくいかなくても、何度も繰り返すうちに、報酬(目的地に着く、転ばない)が最大になる方法を見つけていく。。。

静的なデータから学ぶのではなく、実際に環境と対話しながら学ぶところが特徴なんですね。

有名な例では、Googleの「AlphaGo」があります。囲碁の対戦を繰り返し、勝つための最適な戦略を自ら見つけました。

自動運転技術やロボット制御にも使われており、様々な状況での適切な動作を学習しています。

このように、3つの学習方法それぞれに特徴と得意分野があるんです。

ディープラーニングで全てが変わった

先ほどの3つの学習方法をさらに強力にしたのが「ディープラーニング(深層学習)」です。

これは少し違いますね。

ディープラーニングは、先ほどの学習方法すべてを強化したわけではなく、多層ニューラルネットワークを用いた機械学習の一種なんです。

人間の脳の仕組みを模倣した「ニューラルネットワーク」を多層化した技術で、教師あり学習、教師なし学習、強化学習のどれにも応用できます。

これによって、AIは複雑なパターンを自動的に見つけられるようになりました。

その大きな特徴は「特徴量の自動抽出」にあります。

難しい言葉に聞こえますが、要するに「何を見るべきか」を自分で見つけるということ。。。

例えば、猫の写真を認識する場合、従来のAIでは「耳の形」「ヒゲの有無」など、人間が注目すべき特徴を指定する必要がありました。

でも、ディープラーニングなら、そうした特徴も自分で見つけ出せるんです。

この技術の登場により、画像認識や自然言語処理など、様々な分野で劇的な性能向上が実現しました。

ChatGPTなどの大規模言語モデル(LLM)も、ディープラーニングがあって初めて可能になったんですね。

2025年のAIトレンド:マルチモーダルAIの時代

現在のAI技術で特に注目されているのが「マルチモーダルAI」です。

マルチモーダルAIとは、テキスト・画像・音声・動画など、複数の種類の情報(モダリティ)を同時に理解・処理できるAIのことです。

これまでのAIは、テキストだけ、画像だけといった単一の情報しか扱えないものが多かったんです。

しかし、私たち人間は、見る・聞く・読むなど、様々な感覚を総合して情報を理解していますよね。

マルチモーダルAIは、そんな人間の情報処理に近づいた技術なんです。

例えば、OpenAIの「GPT-4o」やGoogleの「Gemini」が代表的なマルチモーダルAIです。

これらは、テキストによる質問に答えるだけでなく、画像を見て説明したり、音声と画像を組み合わせて理解したりできます。

「この写真に写っているものを説明して」と画像を見せれば、詳しく内容を説明してくれる。。。

また、「この写真を元に、似たような絵を描いて」といった指示も理解できますが、実際には多くの場合、DALL-E 3などの画像生成モデルと連携して実現しています。この点は誤解しないようにしましょう。

こうしたマルチモーダルAIの進化により、AIの活用シーンはさらに広がっていくでしょう。

小型で効率的なAIも急速に進化中

AIの大型化と並行して、小型で効率的なAIの開発も進んでいます。

「小さくても賢いAI」が注目されている理由は明確です。

大規模なAIは優れた性能を持つ一方で、動かすには大きなコンピュータパワーが必要なんです。

でも、スマホやIoTデバイスでも動くAIがあれば、もっと身近なところでAIを活用できますよね。

Google「Gemma」やMeta「Llama」など、小型でも高性能なAIモデルが続々と登場しています。

ただし、こうした小型モデルは特定用途に最適化されていて、GPT-4oなどの大型モデルと同等の性能ではありません。その点は理解しておく必要があります。

小型AIの利点は主に3つあります。

1つ目は「プライバシー保護」。データをクラウドに送らずに端末内で処理できるので安全です。

2つ目は「オフライン対応」。インターネットがなくても動作します。

3つ目は「低コスト」。大規模なサーバーが不要なので、導入・運用コストを抑えられます。

このように、AIは大きく賢いものと、小さくても実用的なものの両方向に進化しているんです。

AIモデルの選び方:目的から逆算しよう

「色々なAIがあって、どれを選べばいいか分からない…」

そんな疑問を持つ方は多いと思います。

でも、大切なのは「何をしたいか」から考えることです。

例えば、データを種類分けしたいなら「分類モデル」、未来の数値を予測したいなら「回帰モデル」といった具合です。

具体的な例を見てみましょう。

やりたいことおすすめのAIタイプ具体例
物事を種類分けしたい教師あり学習(分類)スパムメール判定、写真の中の動物判別
未来の数字を予測したい教師あり学習(回帰)来月の売上予測、明日の天気予測
似たものをグループにしたい教師なし学習(クラスタリング)お客さんのグループ分け、似た商品の発見
文章や画像を作りたい生成AI文章作成、イラスト作成
写真も音声も一緒に理解したいマルチモーダルAI写真の説明、動画内容の理解

AIは万能ではなく、タイプごとに得意なことが違います。

だからこそ、目的に合わせた選択が重要なんですね。

AIをビジネスに活かすためのステップ

「AIを活用したいけど、何から始めればいいのか分からない…」

そんな方のために、具体的なステップをご紹介します。

1. 目的を明確にする

まず、「何を解決したいのか」を明確にしましょう。

抽象的な「AI導入」ではなく、「お客様からの問い合わせ対応を自動化したい」など、具体的なゴールを設定することが大切です。

2. 既存のAIサービスを探す

一から自分でAIを開発するのは大変です。

まずは、既存のAIサービスやAPI(プログラムから利用できるサービス)を探してみましょう。

ChatGPTやGoogle Geminiなど、手軽に使えるサービスも増えています。

3. 小さく始める

大きなプロジェクトよりも、小さな成功体験を積み重ねる方が効果的です。

簡単なタスクから始めて、段階的に拡大していきましょう。

4. 継続的に改善する

AIは一度導入して終わりではありません。

データの追加や調整によって、継続的に性能を改善していくことが重要です。

AIは使い方次第で、あなたのビジネスに大きな価値をもたらします。

でも、魔法の杖ではないことを忘れないでください。

AIは人間の仕事を「代替」するのではなく、「拡張」するツールなんです。

あなたは自分の強みにフォーカスしながら、AI得意な部分を任せる。。。

そんな協働が、これからの時代のスタンダードになるでしょう。

あなたはAIを理解して活用する準備ができていますか?

AIモデルの基本的な分類から最新トレンドまで、いかがでしたか?

複雑に見えたAIの世界も、基本を理解すれば意外とシンプルですよね。

これからのビジネスや個人の生活において、AIの理解と活用は大きなアドバンテージとなります。

あなたは、このAIの波に乗る準備ができていますか?

もし「もっと詳しく知りたい」「実際にAIを活用してみたい」と思われたら、ぜひ未来教育パートナーの無料AI入門セミナーにご参加ください。

AIについての疑問や不安を解消し、具体的な活用方法をお伝えします。

今日も素敵な1日を。


参考資料:

  • AIsmiley「AIモデルとは?機械学習モデルの種類やアルゴリズムとの違いを解説」
  • TRYETING「モデル選択とパラメータ調整」
  • AI総研「AIモデル概要:主要な種類と選び方」
  • Rozetta Square「マルチモーダルAIとは?」
  • Qiita「最新の生成AIモデル比較と活用法」
  • note「小型AI革命:Gemma、Llamaが変えるAIの未来」
  • MathWorks「強化学習とは?」
  • BrainPad「AI入門:機械学習とディープラーニングの基礎」
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この記事を書いた人

一般社団法人 未来教育パートナー
代表理事 甲斐慶彦

マーケティングとAIの掛け算で、事業拡大や業務効率化を支援。
私学の広報支援も手掛け、日本教育を次のステップに進めたい、という情熱のもと当法人を設立。

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