AIで伸びる?衰える?これからの子どもが伸ばすべき力とは?

先日、ある私立中学校の先生から興味深い相談を受けました…

「保護者面談で、『うちの子がChatGPTで宿題の答えを調べているんですが、これっていいことなんでしょうか?』という質問が相次いでいるんです」

その先生によると、職員室でも話題になっているそうで…

「AIを使うのを禁止すべきか、それとも積極的に活用させるべきか」
「そもそも、どこまでがOKでどこからがNGなのか」
「保護者にはどう説明すればいいのか」

先生方も答えに悩んでいるとのことでした。

保護者の方々からは、こんな声も聞かれるそうです。

「AIがあれば、もう勉強しなくていいんじゃない?」
「でも、それじゃ考える力がなくなりそう…」
「いったい、何を学ばせればいいの?」

みなさんも、こんな不安や疑問を感じていませんか?

実は、この質問には簡単な答えがありません。
なぜなら、AIは子どもの力を「伸ばす」道具にも「衰えさせる」道具にもなりうるからです…

目次

AIが変える学びの風景

多くの方が誤解していることがあります。

「AIが普及したら、人間の能力は必要なくなる」

これは大きな間違いです。

実際、米マイクロソフトの研究者らによる最新の研究では興味深い事実が明らかになっています。
生成AIを使う際、時間のプレッシャーがあったり専門領域を超えた問題を扱ったりする場合、批判的思考の程度が従来に比べ低下することがわかったのです。(日本経済新聞、2025年4月23日)

つまり、AIに頼りすぎると、
本来人間が持つべき「考える力」が衰えてしまう可能性があるということ…

AIと共に成長する子どもに必要な4つの力

ここで大切なことをお伝えします。

AIは子どもの可能性を奪うものではなく、可能性を広げる道具なのです。

ただし、それには条件があります。
AIを「使いこなす力」を身につけることです。

では、具体的にどんな力が必要なのでしょうか?

1. 創造性と「ワオ!」を生む力

MITメディアラボのミッチェル・レズニック教授は、創造的な学びの4原則として「Projects(プロジェクト)」「Passion(情熱)」「Peers(仲間)」「Play(遊び)」を提唱しています。(出典:NIRA総合研究開発機構「AI時代に求められる子どもの創造性」)

例えば、千葉県柏市立大津ケ丘第一小学校では、
子どもたちが自らプロジェクトを立ち上げ、
AIツールを使いながら創造的な作品を生み出す授業が行われています。

ある6年生の女の子は、
地域の高齢者向けにAIを活用した見守りシステムを考案しました。

「おばあちゃんが一人暮らしで心配だから」

その思いから始まったプロジェクトは、
プログラミングとAIを組み合わせた素晴らしい作品に…

創造性は、AIには真似できない人間だけの力なのです。

2. 批判的思考力 ― 「本当にそうかな?」と問い続ける力

AIの答えを鵜呑みにしない。
これが、これからの時代を生きる子どもたちに必要な力です。

例えば、授業で生徒がAIに
「地球温暖化を止める方法は?」と聞いたとします。

AIは様々な方法を提示してくれるでしょう。

でも、ここで大切なのは…

「その方法は本当に効果があるの?」
「他にもっといい方法はないかな?」
「そもそも、なぜ温暖化は起きているの?」

こうした「なぜ?」「どうして?」を
問い続ける力こそが、批判的思考力なのです。

3. 協働力と共感する力

AIは計算や分析は得意ですが、
人の気持ちを理解したり、
チームで何かを成し遂げる喜びを感じたりすることはできません。

レズニック教授によれば、子どもたちが仲間と共に作成し、実験し、協力できる環境こそが、創造的な潜在能力を育む最も効果的な方法だと言われています。

学校でのグループワーク、
家族での料理作り、
地域のボランティア活動…

こうした「誰かと一緒に何かを成し遂げる」経験が、
AIには代替できない人間の強みを育てるのです。

4. 主体性と行動力 ― 「やってみよう!」の精神

興味深いデータがあります。

ARINA株式会社の調査によると、これからのAI時代を生き残るために子どもに身につけさせたいこと、第1位は「チャレンジ精神」という結果が出ています。

なぜでしょうか?

それは、AIがどんなに進化しても、
「新しいことに挑戦する勇気」は
人間にしか持てないものだからです。

失敗を恐れず、
「とりあえずやってみよう!」

この精神こそが、
AI時代を生き抜く原動力になるのです…

AIに使われるのではなく、AIを使いこなす子どもに

ここで、多くの先生方が保護者から相談される誤解があります。

「AIから子どもを遠ざければいい」

これは間違いです。

大切なのは、AIを避けることではなく、
AIと上手に付き合う方法を学ぶこと。

例えば、宿題でAIを使うときも…

ただ答えを聞くのではなく、
「なぜその答えになるの?」
「他の考え方はないかな?」
と、AIと対話するように使う。

先生方も保護者の方も、
子どもたちにこうした使い方を教えることが大切です。

これが、AIを「道具」として使いこなすということです。

今日から始められる、子どもの力を育む3つの方法

では、学校でも家庭でも実践できる具体的な方法をご紹介します。

1. 「なぜ?」を大切にする

子どもが「なぜ空は青いの?」と聞いてきたら、
すぐに答えを教えるのではなく、
「どうしてだと思う?」と聞き返してみてください。

授業でも家庭でも、
一緒に考え、調べ、発見する。
この過程こそが、批判的思考力を育てます。

2. 失敗を「学びのチャンス」に変える

子どもが何か新しいことに挑戦して失敗したとき、
「失敗しちゃったね」ではなく、
「何がわかった?」と聞いてみてください。

教室でも家でも、
失敗から学ぶ経験が、
挑戦する勇気を育てます。

3. みんなでプロジェクトを始める

学校でも家庭でも、
みんなで協力してプロジェクトに取り組んでみませんか?

学校なら:クラスで地域の課題を解決するプロジェクト
家庭なら:週末に家族で取り組む創作活動

庭で野菜を育てる、
地域のゴミ拾いをする、
オリジナルのボードゲームを作る…

小さなことでいいんです。

大切なのは、
みんなで協力して何かを成し遂げる経験です。

AIと共に、人間らしく成長する

最後にお伝えしたいことがあります。

AI時代だからこそ、
人間にしかできないことの価値が高まっています。

創造する力、
批判的に考える力、
人と協力する力、
挑戦する勇気…

これらは、どんなにAIが進化しても、
人間だけが持つことのできる宝物です。

子どもたちが持つ「なぜ?」「どうして?」という好奇心。
「やってみたい!」という情熱。

これらを大切に育てることが、
AI時代を生き抜く最高の準備になるのです…

あなたは今日から、
子どもたちのどんな力を育てていきますか?

今日も素敵な1日を。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

一般社団法人 未来教育パートナー
代表理事 甲斐慶彦

マーケティングとAIの掛け算で、事業拡大や業務効率化を支援。
私学の広報支援も手掛け、日本教育を次のステップに進めたい、という情熱のもと当法人を設立。

コメント

コメントする

目次